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電気二重層キャパシタと蓄電システム 第3版

定価(税込)  3,080円

著者
サイズ A5判
ページ数 264頁
ISBNコード 978-4-526-05509-6
コード C3054
発行月 2005年09月
ジャンル 電気・電子

内容

自動車応用を中心に新エネルギー革命を巻き起こしたキャパシタを用いた新しい蓄電方法に関する本。電気二重層キャパシタの容量と性能を飛躍的に高め、自動車用途を中心とした実用技術に育てた技術的な背景とその発展を貴重な資料をもとに、紹介する好評書籍の第3版。

岡村廸夫  著者プロフィール

岡村 廸夫(おかむら みちお)
1935年 群馬県に生まれる
1959年 早稲田大学第一理工学部電気工学科卒業
 同年 日本原子力事業(株)入社
1964年 米国アルゴンヌ原子力研究所に留学
1966年 日本原子力事業(株)エレクトロニクス開発室に勤務
1976年 同社エレクトロニクス開発部長
1987年 同社を退職。岡村研究所を設立
    (株)岡村研究所代表取締役就任
2004年 (株)パワーシステム代表取締役会長
著 書 「電子回路―どうすれば理論どおりに働くか」(日刊工業新聞社)
「電源回路」(日刊工業新聞社)
「放射線測定回路とシステム」(日刊工業新聞社)
「OPアンプ回路の設計」(CQ出版社)
「ためしながら学ぶCプログラミング」(CQ出版社)
「解析ノイズメカニズム」(CQ出版社)
「電磁ノイズのはなし」(日刊工業新聞社)

目次

第1章 新蓄電システムのコンセプト
1.1 電気を蓄える手段  
1.2 新蓄電システムECaSS  
1.3 ECaSSと充放電効率  
1.4 二次電池や従来のキャパシタとの比較
  
第2章 電気二重層からキャパシタへ
2.1 電気二重層とは  
2.2 水系と有機系  
2.3 電気二重層キャパシタの構造  
2.4 各種のキャパシタ製法  
2.5 キャパシタの限界はどこに
  
第3章 電気二重層キャパシタの技術
3.1 活性炭の内部  
3.2 細孔とその分布  
3.3 分極性電極の種類と製法  
3.4 集電極とセパレータ  
3.5 電解液の知識  
3.6 内部抵抗を決める要素  
3.7 ナノゲート・キャパシタ
 
第4章 キャパシタの特性測定
4.1 電気二重層キャパシタの特性値  
4.2 特性の測り方  
4.3 充放電カーブから得られるもの  
4.4 耐電圧と寿命  
4.5 三電極法によるセルの測定と応用  
4.6 回路シミュレータ  

第5章 電子回路の技術
5.1 キャパシタの充電回路  
5.2 出力コンバータとバンク切換え  
5.3 並列モニタの考え方  
5.4 システム化の技術
  
第6章 高エネルギー密度型の応用と可能性
6.1 応用の考え方と小さな実例  
6.2 電力系統への応用  
6.3 大型システムへの応用  

第7章 高出力密度型の応用と可能性
7.1 高出力密度キャパシタの電力への応用  
7.2 ハイブリッド電気自動車  
7.3 ハイブリッド電気バスとトラック  
     
[付録]
電子キャパシタ用語集  
索 引  

[コラム]
1.ラゴーニ・プロット  
2.化学が専門でない人のために  
3.エネルギ密度,出力密度とFの関係  
4.物理や電気の文化……感電に注意  
5.キャパシタの電圧バランサー  
6.ECaSSの価値についての討論  

はじめに

 これはECaSS(Energy Capacitor Systems,イーキャス)と呼ぶ,キャパシタを用いた新しい蓄電方式に関する本である.近ごろ科学が種切れで新しい技術が出にくいというが,そうだろうか.新しいものには困難や冒険を伴うのに,皆がそれを避けているだけではないか.

 電気をキャパシタに蓄えるのは新しいことではない.だがこの研究を始めた1992年当時キャパシタを鉛蓄電池と比べると約20倍のエネルギー密度にする必要があった.それができるはずだと言い出したところ,研究などで多少は実績のある著者が暫く相手にされなくなった.考えてみると100年使われた鉛電池並みの信用が数年で得られるはずはない.それぞれの学問分野には先達が積み重ねた業績があり,専門メーカーには研究から製造販売までの実績が蓄えられている.思いつきの新技術に幅を利かされてたまるか,と反発する方が当然であろう.

 幸いにもECaSSはいくつもの出版社の協力を得た.お陰で世間への情報の波及は進み,技術指導には20余の企業が参入し,市,県,そして国から補助金を受けるに至った.それでさえ,新しい産業を興し,炭素や電解液の工場まで建設する必要のあるECaSSの普及は一朝一夕には完成しない.売れるなら量産するのだが……安くなれば使うのだが……鶏と卵で長い間苦しんだ末,パワーシステム社に技術と資本を集中して,2005年6月から大量生産に立ち上がった.

 この時点で本書のような単行本を出版するのが適切であろうか.書籍というものは,定説になった事柄を述べるべきで,研究や事業化がどんどん進んでいる最中に,技術の内容をどこまで書けるか,そして書いたことは確かか.考えた末,次のような方針を定めた.新しいことを臆せず,将来判明するであろう事実にたじろがず,現在わかっている知識で書く.つまり本書はキャパシタによるエネルギー貯蔵装置の定本ではなく,一介の研究者が研究している最中の生の記述とする.

 工業化は始まったばかりである.生産が軌道に乗れば価格が下がり,下がればユーザーが増え量産が伸び,値段が安くなるであろう.その結果だれもが安価にECaSS~キャパシタ蓄電~が利用できるようになれば,関係者の努力にも,補助金などで血税を使わせて頂いた国民各位にも報いることができる.

2005年8月
岡村 廸夫  

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