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おもしろ話で理解する材料力学入門

定価(税込)  2,052円

著者
サイズ A5判
ページ数 192頁
ISBNコード 978-4-526-05282-8
コード C3053
発行月 2004年04月
ジャンル 機械

内容

材料力学で使われる様々な言葉の意味や式の使い方などをわかりやすく教える入門書。先生と生徒の問答形式および図を多用した親しみやすい構成で無理なく学習できる。材料力学を学ぶときに最初に読む本。

目次

目 次





まえがき



第1章 材料に作用する力

01話 1円を笑うものは1円に泣く ・2

─材料力学は“適材適所”の要

02話 材料にも流行があるの!? ・4

─材料を分類する

03話 力といえばニュートンでしょう ・6

─基本は材料と力の関係を求めること

04話 性質が違えば現れる変形も違う ・9

─材料を変形させる力の種類

05話 壁の穴はなぜあるの? ・12

─似ているようで違う圧力と応力

06話 豆腐は落ちる,こんにゃくは曲がる ・16

─せん断応力と曲げ応力

07話 分ければわかる力の正体 ・18

─引っ張りによる応力を求める

08話 その変形を起こした応力は何? ・21

─いろいろな応力の定義





第2章 材料の変形

09話 元に戻るかどうかは結びつく力しだい ・26

─金属結合と変形の関係

10話 混ぜもので強くする ・28

─合金のひみつ

11話 破壊するのはなぜなのか ・30

─延性破壊とぜい性破壊

12話 “硬い”と“軟らかい”の違い ・33

─硬度計の仕組みと種類

13話 同じ原子なのにこんなに違う! ・35

─結晶構造の違いがおよぼす影響

14話 密度が高いと熱にも強い ・37

─金属材料の耐熱性

15話 理屈は違うが性質は同じだ ・40

─耐熱材料の種類

16話 金属だって疲労する ・42

─繰り返し荷重と疲労

17話 サイクルが変われば疲労も変わる ・45

─高サイクル疲労と低サイクル疲労



第3章 材料の力学とは

18話 のびならこの法則の出番 ・48

─応力─ひずみ線図とフックの法則

19話 変形はエネルギーを蓄える ・50

─ひずみと弾性エネルギーの関係

20話 ただ引っ張っているのではない ・53

─引張試験機の仕組みと応力─ひずみ線図

21話 変化の過程に材料の性質が現れる ・56

─応力─ひずみ線図からわかること

22話 材料の性質と力学を結ぶヤング率 ・60

─縦弾性係数と横弾性係数

23話 のびて縮んで体積が減る ・63

─ポアソン比が示す材料の性質

24話 限界を超えると,もう元には戻れない ・67

─塑性変形と加工硬化



第4章 はり構造の力学

25話 縦,横,斜めで支えている ・70

─はり構造物とは

26話 支持か固定かに注目を ・73

─はりの種類と荷重の関係

27話 回転モーメントが計算の鍵 ・76

─集中荷重による反力を求める

28話 分布に違いがあっても考え方は同じ ・79

─分布荷重による反力を求める

29話 反対向きの力あるところに,せん断力あり ・82

─はりの内部に作用する力

30話 まずは作用する反力を求めよう ・85

─せん断力と荷重の関係

31話 曲がるってことは回ってるってこと ・89

─はりに発生する曲げモーメント

32話 右回りと左回りの差が放物線をつくる ・93

─等分布荷重による曲げモーメント



第5章 断面形状と強度

33話 のびと縮みが同居する変形 ・98

─曲げにより発生する応力

34話 同じ形でも方向によっては曲がらない ・101

─はりの断面形状と曲げモーメント

35話 重みのないモーメント ・103

─回転モーメントと断面1次モーメント

36話 出発点は曲げモーメント ・106

─曲げによる応力を求める

37話 横と縦では値が違う ・111

─断面係数と曲げ応力

38話 2つの応力がつくるたわみ曲線 ・114

─たわみと曲げ剛性



第6章 材料に応力が作用すると

39話 自分の重みでのびる,切れる ・118

─自重による応力とひずみ

40話 同じ太さなら上の方がよりのびる ・120

─自重によるのびと断面積の関係

41話 円筒容器は破裂するとき縦に割れる ・123

─薄肉円筒に作用する応力

42話 その形状は材料力学の結果 ・127

─球形タンクに作用する応力

43話 座屈とは耐えられず潰れること ・130

─垂直に立つ柱に現れる変形

44話 回転と同じ方向の力・ねじり力 ・132

─トルクとねじり応力,断面形状の関係

45話 送電線の理想的なたるみ ・135

─懸垂線が示すもの



第7章 安全設計の極意

46話 応力が集まり,より大きな応力が発生する ・142

─応力集中の発生条件

47話 前触れなく起こる材料の破壊 ・145

─疲労破壊の発生と疲労

48話 破壊の元はこっそりと広がる ・147

─弾性限界内の変形も安心はできない

49話 安全も性能もどちらも重要 ・149

─安全率と許容応力の意味

50話 万全の配慮が安全をつくる ・152

─安全率の考え方

51話 瞬間的に加わる大きな力 ・155

─衝撃荷重と衝撃応力

52話 熱は原子の拘束を解く ・158

─熱膨張率と熱応力の関係

53話 日に照らされて大きくなった? ・161

─膨張率と耐熱性の関係

54話 衝撃波が起こす変な現象 ・163

─衝撃波の伝播と材料の変形

55話 爆発でものづくり ・168

─衝撃波により発生する高圧力の利用



第8章 複合材料で何ができるか

56話 繊維と樹脂の組合せがつくりだす材料 ・172

─複合材料とはどんな材料か

57話 強度特性は繊維の方向,巻き方次第 ・175

─複合材料の強さの仕組み

58話 骨と筋肉ではどちらが大事 ・177

─複合材料の種類と分類

59話 引っ張りに強い“猫のひげ” ・180

─欠陥のない単結晶・ウイスカー

60話 小さな孔が強さの秘密,弱さの原因 ・182

─コンクリートの製法と性質



参考文献

英用語対比表

索 引

はじめに

まえがき



人類が文明を作り出すきっかけとなった出来事はいくつも考えられるが、住まいを自然に存在する洞窟から人工的に作ったねぐらに移したことは、その一つにあげられるだろう。それは、枯れ枝を住居の骨格に、植物の葉を壁にしたような簡素な作りで、強い日差しと風雨から家族を守るだけのものだったかもしれない。しかし、構造物について考えることは、ここから始まったのだ。

建築技術の歴史は古い。例えば、紀元前3000〜2500年ごろにつくられた古代エジプトのピラミッドには、当時の卓抜した建築技術が見て取れる。時代は下るが、日本においても東大寺大仏殿のような世界に類を見ない大規模な木造建築物を造る技術が開花している。これらには現在の先端技術ですら及ばない点があり、理論式も計算機もない時代に、材料や構造物の形状などに関する優れた技術が完成していたことを物語っている。

人類は、長大な吊橋、雲に届くような高層ビル、高速で快適な新幹線、超音速戦闘機、宇宙ロケットなどの夢のような構造物を実現してきた。これらは材料それぞれの特性を引き出し、軽量化や経済性などの問題を解決してきた成果でもある。現在では、考えられなかったような新しい素材や、従来用いられてきた素材同士の組合せが登場し、材料は多様化している。材料力学にとっては新たなチャレンジの機会が訪れているといえる。

本書は、材料力学の本質を理解するために、材料と力学の関係をできるだけわかりやすく理解できるよう、そして身近に感じられるように配慮した。いま、材料力学の実践現場では有限要素法によりプログラム化された計算を使用することも多いが、基本式はあくまでも本書で解説したものと同じものであることを忘れてはならない。材料力学の実践には演習問題を解いてみて理解できることも多いので、参考文献に記したような演習書を参考にすることを勧めたい。なお、本書の作成にあたって、日刊工業新聞社の天野慶悟氏には出版までの調整などでお世話になった。ここに深く感謝する。

2004年3月

久保田浪之介

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