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Electronic Engineering Books
電気絶縁評価の入門技術

定価(税込)  2,592円

著者
サイズ A5判
ページ数 208頁
ISBNコード 978-4-526-05276-7
コード C3054
発行月 2004年04月
ジャンル 電気・電子

内容

ノイズ、静電気、熱対策といった評価対策技術と同様に、電気技術者および電子技術者にとって重要な問題である電気絶縁評価。本書は、この分野ではじめて、一般の技術者にもわかりやすく解説した入門書。放電や絶縁の基礎から電荷校正の実際までを解説。

目次

目 次

第1章 部分放電の基本測定はこうする 1

1.1 電力系統と電気絶縁の機能 1

1.2 部分放電はどんな絶縁異常か 5

1.3 部分放電の測定方法 10

1.4 電荷校正による放電の定量評価 17

1.5 基本となる部分放電測定 20

第2章 測定する試料固有の特性を把握しよう 27

2.1 コンデンサの周波数特性(基本ケース1) 27

2.2 インダクタ(コイル)の周波数特性(基本ケース2) 30

2.3 インピーダンスの周波数特性(f‐Z特性) 33

2.4 ケーブルの周波数特性(f‐Z特性) 35

2.5 発電機固定子巻線のf‐Z特性 42

2.6 湿潤劣化試料の特性 52

2.7 各種試料の周波数特性 56

第3章 部分放電測定にはどんな測定装置を使うか 59

3.1 試験用電源 59

3.2 部分放電測定器 64

3.3 電荷校正器 72

3.4 付帯装置 79

3.5 測定システム 88

第4章 電荷校正して放電の大きさを評価しよう 91

4.1 電荷校正の目的と条件 91

4.2 端末からの測定と電荷校正(電力ケーブル,その1) 94

4.3 中間接続部での測定と電荷校正(電力ケーブル,その2) 97

4.4 引出口からの測定と電荷校正(発電機固定子巻線,その1) 108

4.5 多点での測定と電荷校正(発電機固定子巻線,その2) 113

4.6 定量校正の条件 121

第5章 雑音の影響を避けて測定感度を上げよう 125

5.1 高感度部分放電測定の考え方 125

5.2 雑音の種類と侵入原理 130

5.3 侵入経路を断つことによる外来雑音除去 136

5.4 測定装置による雑音の除去 143

5.5 ステップバイステップの手順による雑音対策 148

5.6 高感度測定への対応 154

第6章 得たデータをどのように処理するか 157

6.1 測定データの種類 157

6.2 放電の大きさの扱い 164

6.3 V‐Q特性(アナログ技術) 171

6.4 φ‐q‐n特性(デジタル技術) 175

6.5 パターン認識 186

第7章 関連技術および総括 191

7.1 運転中の部分放電測定 191

7.2 部分放電試験試料の設置環境 193

7.3 技術展望とまとめ 196

参考・引用文献 197

索引 199

はじめに

はじめに

最近、あまり使われなくなった言葉に「強電」と「弱電」があります。しばらく前までは「IT(Information Technology)」という言葉が世の中を風靡していました。「IT」ではさまざまな技術分野が複雑に絡み合っており、良く使われた「強電、弱電」とは全く異なる意味を表していると考えられます。

この本は、「強電」の技術分野に含まれる「絶縁材料」に対して、絶縁異常を検出する一つの手段について、「計測」の立場から、いくつかの弱電技術を適用してみた結果をまとめたものです。

絶縁材料は高電圧の技術分野と直接関係を持っていますが、通信等の分野ではあまり強い関心を引く分野ではなかったようです。高電圧の技術は、電力を発生して、送配電によって需要先に供給するために不可欠の技術です。しかし、電力の分野にも既に「IT」の技術がさまざまに入り込んでしまい、「強電」と「弱電」という言葉が使われる時代ではなくなったのも当然といえるでしょう。

本書では、電気絶縁の異常を検出するための基本技術として「部分放電」の測定を取り上げました。部分放電測定技術は、高度経済成長期のころから種々の方法が取り入れられてきており、今では最先端の技術ではなくなった部分も多く見受けられます。ここでは基礎的な技術を取り上げて見直してみました。

末尾に掲載した文献を見ると、多くは数十年前に発行されています。「こんな古い話を持ち出して、いまさら何をいいたいのだ」、という声が聞こえる気がします。現時点でこれら先人の業績に再び光を当てて、今のIT時代の技術に対する整合を試みたということも本書をまとめた動機になっています。

筆者は、「弱電」の分野での経験の後に、「電気絶縁」の分野に関係した「絶縁計測」に長らく身を置いてきました。その経験の過程で、「強電」と「弱電」の技術分野の内容の「違い」に気を引かれることがありました。

技術分野が異なると、従事する人の物の考え方や行動指針についてかなりの相違もあるようです。例えば、「電子回路」では、抵抗1本やコンデンサー1個という部品を変えることで特性に相当の変化を生じることがあります。「取りあえず」の処置として、これはと思う状態に動く回路を作り、それに手を加えて最終の姿へ近づけていくことが一般に可能な手段になります。

これに対して「高電圧機器」では、「取りあえず」では不十分な場合が大半です。慎重に考えを進め、ある程度の目途がついた時点で図面を引いて設計を進め、「もの作り」に着手しなければ、目標達成は難しいようでした。

このような背景に基づいて、「電気計測」の立場から「高電圧」と「絶縁体」の技術を見たときに思いつくことをまとめました。異色の経歴を歩んだ技術者の視点を通した独り言としてご容赦を戴ければ幸いと思います。

筆者の従事してきた分野の仕事では現場経験の比重がかなり高く、実際には「ドロ臭い」ことが多く、理論的に扱いにくい内容ばかりです。最新の「IT技術」のようなスマートさに欠けることになるので、本書では数式による取り扱いは極力避けて、図や表を多く用いることにしました。

現場で大切なのは実際の現象をよく見ることと思います。設計あるいは製作・設置した通り各種の装置は動作しないことがあります。現場では、このように設計者の意に反した動作等も多く経験しています。基本としては、現場でドロ臭い現象の中から見いだした経験を主体にした内容になっています。現場で日々奮闘されている関係技術者に得る所が有れば望外の喜びと考えます。

本書の内容は、絶縁状態を診断するための測定技術に限定しています。測定で得られたデータを活用して、電力設備の効率運用に結びつけて経済的に役立てることが現実に行われていますが、それら内容については触れていません。今後、機会が有れば絶縁診断の実際データとその扱いについて纏めてみたいと考えています。

なお、多くの方々と行った検討結果等を各章で引用しました。芦澤康二氏には原稿を読んでご意見を寄せていただきました。本書の実現には、日刊工業新聞出版局鈴木徹氏に力を貸していただきました。これらの方々に心からお礼申し上げます。



2004年3月10日著 者

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