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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい航空工学の本

定価(税込)  1,512円

著者
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サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-06423-4
コード C3034
発行月 2010年03月
ジャンル ビジネス 機械

内容

航空工学は、流体力学・材料力学・構造力学・熱力学・制御工学などからなる、航空機に関する総合的な学問。本書は、航空機の機体構造から飛ぶ原理、操縦法、運航までを豊富な図、イラストを用いてやさしく解説する。飛行機のことがまるごとわかる一冊。

高木雄一  著者プロフィール

1971年 長崎県生まれ
現在、米国カリフォルニア州在住
West Air.Inc.にて近距離貨物便(FedEx Feeder)の操縦士。
Attitude Aviation.Inc.にて飛行機整備士および曲技飛行教官。
IAC公認曲技飛行競技審判

小塚龍馬  著者プロフィール

1978年 新潟県生まれ
現在、川崎重工業(株)航空宇宙カンパニー
一等航空整備士(回転翼)
一級国家技能士(電子機器組立・電子回路接続・油圧装置調整)

松島丈弘  著者プロフィール

1986年 静岡県生まれ
現在、JALシミュレーターエンジニアリング(株)

谷村康行  著者プロフィール

1951年 山口県生まれ
現在、日本航空専門学校教員
航空工場検査員(航空機用原動機・発動機制御装置)
非破壊検査技術者(全6部門レベル3)
日本非破壊検査協会技術講習会講師指導員
●主な著書
「超音波探傷入門」日本非破壊検査協会
「絵とき 超音波技術 基礎のきそ」日刊工業新聞社
「絵とき 破壊工学 基礎のきそ」日刊工業新聞社

目次

目次

第1章 航空工学の前に
1 航空機と飛行機はどうちがう 「人を乗せて空を飛ぶ道具が航空機」
2 飛行するということ 「飛行の名手たちをまねてみる?」
3 飛行機の誕生 「ライト兄弟のフライヤー号が最初の飛行機」
4 飛行機の構成 「飛行機が飛行機であるためには」
5 ニュートンの運動の法則 「力と運動を考える」
6 空気の質量・密度・圧力 「飛行機は空気の力で飛ぶ」
7 流れる空気 「動く空気のふるまい」
8 飛行機の持つ性能比較の基準「標準大気」 「空気にもいろいろあるので」

第2章 航空力学の基礎
9 機体に作用する4つの力 「重力・揚力・抗力・推力」
10 前進を妨げる力「抗力」 「空気抵抗を減らすために」
11 翼と揚力 「浮く力を得る工夫」
12 揚力の操作と失速 「揚力を得ることと失うこと」
13 飛行機の軸と運動 「三次元の軸とゆれ」
14 バランスを保って飛行する「安定性」 「安定性が正ならば操縦は楽」
15 使用目的で異なる「操縦性」と「運動性」 「操縦者の意思が伝わりやすいか」
16 エンジンの推力が関係する「上昇」 「さらに上空に行くのに必要なこと」
17 航空機の進行方向を左右に変える「旋回」 「曲がり方も考えて」
18 航空機の経済を左右する「巡航」 「最も安定した飛行」
19 抗力発生を最小限におさえながら揚力を増加する「離陸」 「滑走路には制限がある」
20 揚力と抗力を最大限に増加する「着陸」 「速度を落としながら安全に着陸するには」
21 高速飛行―音速を超えると衝撃波が問題 「飛行機と音の速さ」
22 重量と重心 「ウエイト・バランスは飛行機にとっても大事」

第3章 航空機の機体構造
23 機体にかかる力 「航空機はストレスに耐えて飛んでいる」
24 荷重倍数 「機体を壊さないための運動制限」
25 与圧(キャビンプレッシャー) 「快適なキャビンと機体のストレス」
26 セミモノコック構造 「卵の殻から機体構造」
27 揚力に耐える「翼の構造」 「揚力を発生させて揚力で壊れない構造」
28 フェイルセーフ構造 「金属疲労で事故にはさせない」
29 損傷許容設計 「精密な健康診断プランの実行で安全確保」

第4章 エンジンは推力と揚力の源
30 航空機エンジンの分類と特徴 「ジェットエンジンとレシプロエンジン」
31 ジェットエンジンの原理 「空気がなくならないゴム風船」
32 ジェットエンジンの構成 「4サイクルは同じでも」
33 外気を取り込み圧力を高める「圧縮機」 「空気を閉じ込めずに圧縮」
34 高圧の空気に燃料を噴射し燃焼させる「燃焼器」 「燃やしつつ冷やしつつ」
35 噴出ガスから力を取り出す「タービン」 「動力は自前で調達」
36 飛行機を前に進める「推力」 「推力は空気の量と速度で決まる」
37 機種によって使いわけされる「燃料」 「ジェット燃料はガソリンではない」

第5章 安全に運航させるシステム
38 大きな飛行機を操縦する力を生み出す「油圧システム」 「小型機なら人力で操縦できるが」39 快適な空の旅を提供する「与圧・空調系統」 「1万メートル上空でも快適に」
40 機種によって異なる「酸素系統」 「緊急時に備えて酸素マスク」
41 着氷を防ぐ「防除氷系統」 「翼についた氷をとるには」
42 エンジンへ確実に燃料を送る「燃料系統」 「エンジンに燃料を送ればよいというものではない」
43 交・直両方が使われる「電源システム」 「飛行機は発電機を搭載している」
44 エンジンを始動するための「補助動力系統」 「もう一つの隠れたエンジン」
45 アンテナと電波 「地上との通信に使う電波」

第6章 強くて軽い航空機材料
46 材料選択の重要な指標「比強度・比剛性」 「強いだけでは使えない」
47 航空機の発展を支えた「アルミニウム合金」 「航空機はアルミ合金の塊」
48 アルミニウム合金の熱処理 「焼きを入れてじっと待つ」
49 強くて錆びない「チタニウム合金」 「ジェットエンジン・コールドセクションの主役」
50 飛行機では使用箇所が限られる「鋼」 「脚に使われる最強の鋼」
51 高温腐食とクリープに強い「耐熱合金」 「ジェットエンジン性能向上の鍵になる熱に強い材料」
52 繊維とプラスチックを組み合わせた「複合材料」 「これからの航空機材料の主役になるか」
第7章 計器で知る飛行機の状態
53 空盒計器その1「高度計」 「計器で知る飛行の状態」
54 空盒計器その2「昇降計と対気速度計」 「空気はいろいろなことを教えてくれる」
55 飛行機の姿勢を表示する「ジャイロ計器」 「ジャイロスコープで知る姿勢と運動」
56 目的地までのガイド「航法計器」 「無線を使って知る自機の位置」
57 磁気コンパスと遠隔指示コンパス 「地球の磁場から方位を知る」
58 安全運航に欠かせない「圧力計」 「血圧を測定しながら飛行?」
59 エンジン各部の温度管理を行う「温度計」 「マイナス50度から千数百度まで」
60 燃料補給の決め手となる「流量計」 「燃料管理は念入りに」
61 統合電子計器 「電子技術の発展で見やすくなるコックピット」

第8章 ヘリコプターの仕組み
62 回転翼航空機 「翼を機体上部で回す航空機」
63 ヘリコプターの構造 「飛行機と違うところは」
64 ヘリコプターの操縦 「ロータで発生する揚力の大きさと方向を操作」
65 ジャイロプリセッション 「ロータはジャイロスコープ」
66 ブレードの運動 「細長いローターブレードにかかる力と運動」
コラム
●インチ・ポンド
●スカイダイビングに挑戦
●事故と人間と映画
●基礎研究か、すぐに役立つ研究か
●常に心に疑問符を
●週末の休暇で発見されたアルミの時効硬化
●緊急事態とシミュレータによる訓練
●ヘリコプターで曲技飛行?

参考文献
索引

はじめに

飛行機は今日、人と物の移動手段として欠かせないものになっています。見上げた空に飛行機が飛んでいる風景が日常になっているという人も少なくないでしょう。数百トンもある金属の塊ともいえる機体を重力に逆らって空中に飛ばし、東京・ロンドン間を半日足らずで移動してしまいます。
人類が飛行機という乗り物の手がかりをつかんでからまだ100年ちょっとの時間しか経っていません。もしも坂本龍馬が今日の飛行機を見たら腰を抜かしてしまうかもしれません。それまでも、空に憧れ自由に空を飛ぶ夢を追いかけて飛行機を作ろうとした人がたくさんいましたが、それは知恵と工夫だけではなく命がけの冒険でもありました。
航空機とその産業の急速な発達、そして他の交通手段と比べても桁違いに安全な乗り物になっていること、このことの背景には、日々細心の注意を払って航空機を作り運航している技術者たちのたゆまぬ努力があります。そしてその技術者たちを支えているのが、航空機に関する人類の知恵の蓄積である技術の体系すなわち航空工学です。
航空工学は航空機を対象とした機械工学の一分野です。人類の英知の結集といっても、天才や秀才だけがわかるものであれば航空機産業がこれほどの広がりを持つことはできません。中学・高校の理科や数学の勉強をこつこつ積み重ねたその延長線上にあります。
本書は、航空工学の覗き見を目指します。本格的に勉強をしたい方は、それぞれの専門書に進んでください。「今日からモノ知りシリーズ」の中にある「宇宙ロケットの本」に糸川英夫先生の「初めて学ぶ事柄の場合は、私はマンガから入ります。概念的につかんでおけば専門書に入っても戸惑うことがないからです。」という言葉が紹介されています。糸川先生のような天才でも戸惑うことがあるのかと思いますが、本書も覗き見といっても単なるダイジェストではなく、核心をイメージとしてつかむ本になればと考えています。
本書は全8章で構成されています。1章は、航空工学を学ぶ前に知っておいたほうが良い知識についてまとめてあります。本書では航空機の中でも最も普及している飛行機を主に扱いますが、飛行機とは一体何かを最初に書きました。力と運動に関するニュートンの運動の法則、空気の性質とふるまいを次に書いています。これらのことは十分知っているという方は、1章を飛ばしてください。
本書は4名の共同執筆です。執筆者は、子供のころ空に憧れ航空技術者になることを志して懸命に学んだという共通体験をベースにして、インターネットを通じて知り合いあるいは再会した仲間です。現在は居住地も職業もまちまちですが、「面白い、読みやすい、まじめな良い本を作る」ことを合言葉に、会員制のブログで議論を重ねるという新しいスタイルで共同執筆をしてきました。航空工学の門の前でたたずむ若き入門者の足元の暗さを照らす一筋の明かりに本書がなってくれれば、それが執筆者としての本望です。
苦労して学んできた若者が書いた本はきっと良いものになる、そういってこの企画を後押ししてくださった日刊工業新聞社出版局の奥村功書籍編集部部長、新日本編集企画の飯嶋光雄さんの決断によって本書は生まれました。この場を借りて御礼申し上げます。
2010年3月 谷村康行

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