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あのスーパーロボットはどう動く
―スパロボで学ぶロボット制御工学―

定価(税込)  2,376円

編著
サイズ A5判
ページ数 192頁
ISBNコード 978-4-526-06406-7
コード C3034
発行月 2010年03月
ジャンル ビジネス 機械

内容

ガンダム、ザク、マジンガーZ、パトレイバー・・・などなど。あこがれのスパロボをお題に、ロボット制御工学を解説した書。現在制御工学でもスパロボの動きを解説できることを踏まえ、『スーパーロボット制御工学』の存在を仮定した本書は、工学の知識があまりない人でも、スパロボを意図通りに動かすために、どのような制御則が込められているのかが理解できる。ロボット制御工学の基礎から応用まで俯瞰して学ぶことができる。

目次

目次


序章
スーパーロボット制御工学の世界へようこそ!(編著者 立命館大学 金岡 克弥)

なぜスーパーロボットか/スパロボを実現するために/制御なくしてスパロボなし!/スーパーロボット制御工学/ロボット制御を「見る」ために/対象とする読者/本書の執筆陣/ようこそロボット制御工学の世界へ!


第1章
スパロボ元祖・マジンガーシリーズにみるパンチ性能評価
―ロボット制御のための力学の基礎(福岡工業大学 木野 仁)
1-1 ロボットの力学
ロボットの力学を捉えるモデル化/ロボットを動きづらくする慣性
1-2 スパロボの基礎物理
物体の変位/物体の速度/物体の加速度/物体の回転角・角速度・角加速度/ニュートンの運動方程式/回転させる力・トルク/オイラーの運動方程式
1-3 マジンガーZとグレートマジンガーのパンチ性能評価
グレートマジンガー登場!/運動エネルギーによる評価
1-4 まとめ
参考文献


第2章
AMBAC システムとガンダムハンマーの制御を分析!
―モビルスーツの力学と制御・福岡工業大学(木野 仁)
2-1 ロボットを制御するには何が必要か
精度の高い運動を実現するフィードバック制御/ティーチングプレイバック/ザクの落下の運動方程式/運動方程式でモビルスーツの動きを捉える
2-2 モビルスーツの姿勢制御を力学的に見る
AMBAC システムを使った姿勢制御/ガンダム・ハンマーの制御
2-3 まとめ
参考文献


第3章
スパロボはなぜ格好良く変形できる?
―変形ロボットの姿勢制御(大同大学 橋口宏衛)
3-1 宇宙空間で厄介な反作用
3-2 スパロボ自身で反作用を打ち消すには
3-3 反作用を相殺するための力学
反作用(リアクション)による方法/リアクションホイール/ジャイロ効果による方法
3.4 反作用を相殺する制御−νガンダムのフィン・ファンネル
フィン・ファンネルのモデル化/フィン・ファンネルの動きをシミュレーション/フィン・ファンネルの動きを考察
3.5 スパロボはなぜ変形するのか
推力軸と重心位置の関係/スパロボの変形には意味がある!
3.6 まとめ
参考文献


第4章
スパロボはなぜ華麗に操縦できる?
―スパロボと操縦者をつなぐ運動学(九州大学 田原健二)

4-1 操縦者の動きをトレースするマスタ・スレーブシステム
4-2 ロボットの運動学 ―どこをどれだけ動かせばよい?
関節角度から手先位置を決定する順運動学/手先位置から関節角度を決定する逆運動学/逆運動学の解析解 ―その方程式は解けるか?/逆運動学の数値解 ―コンピュータの威力
4-3 ロボットの微分運動学
微分順運動学/ヤコビ行列/微分逆運動学/微分逆運動学を用いたロボット制御/ロボット特異姿勢
4-4 まとめ
参考文献


第5章
ゴッグのチューブのような腕はどう動かす?
―冗長な関節を持つスパロボの制御(九州大学 田原健二)
5-1 ロボットの冗長性とは?
5-2 逆運動学と疑似逆行列
5-3 転置ヤコビ行列を用いた方法
5-4 人間の身体と筋冗長性
5-5 まとめ
参考文献


第6章
ザクの微妙な力加減を分析!
力・トルクの役割(九州大学 菊植 亮)
6-1 動きの制御の舞台裏にはトルクがある
角度制御におけるトルクの働き/P制御(比例制御)/PID(比例・積分・微分)制御/位置制御はとても手軽(ユーザーにとっては)
6-2 力加減の制御を実現するには
コンプライアンス制御/バックドライバビリティ/動特性補償
6-3 まとめ


第7章
パワードスーツの制御を分析!
―スパロボと操縦者をつなぐ力学と制御(立命館大学 金岡克弥)

7-1 現在の操縦方法
7-2 コマンドベースの操縦方法
コマンドベースの操縦型ロボット開発は難しい/では、どのように操縦すべきか
7-3 軌道制御ベースの制御方法
ロボット制御工学の女神/軌道制御ベースのロボットを操縦すると/制御の女神はなぜ箱の中に?
7-4 制御の女神を解放しよう
そう簡単には解放できない!/発想の転換/駆動力制御ベースで女神とフュージョン!/身体と相談しながら操縦する/それはハイテクか?
7-5 パワードスーツの登場です
パワードスーツをモデル化!/パワードスーツのモデルを分析!/パワードスーツの制御を分析!/クローズドループダイナミクスを分析!
7-6 操縦型スパロボは実現できる(限定付)
7-7 まとめ
参考文献


第8章
ザクはなぜサクサク歩行できる?
―2足歩行を実現する軌道計画の基礎(大阪電気通信大学 吉田晴行)

8-1 試行錯誤でないモーションプログラミングを考える
ダイナミクスを考慮した軌道計画/ZMP の取り扱い
8-2 2足歩行ロボットの大胆なモデル化
倒立振子モデル/倒立振子モデルの挙動/倒立振子モデルの運動方程式/倒立振子モデルの軌道エネルギー
8-3 倒立振子モデルにもとづく軌道計画
重心移動の軌道計画/重心移動で脚が伸びきったら?/脚を踏み出すための軌道計画
8-4 まとめ
参考文献


第9章
パトレイバーにみる人型ロボットの制御
―人型ロボットの力学とオートバランスの理論(九州大学 杉原知道)

9-1 なぜスパロボは人型なのか
9-2 人型ロボットの力学と制御の問題
9-3 重心- ZMP モデルでロボットの重心を制御する
9-4 「立つ」ための制御
9-5 転ばないように踏み出す
9-6 踏み出しから移動へ
9-7 もっと,人間のように
参考文献


終章
未来のスーパーロボット制御工学のために(編著者 立命館大学 金岡克弥)
スパロボは存外に有望なのではないか/幸せなロボットの進化のために/スーパーロボット制御工学へ!

索引

はじめに

◆◆◆序章 スーパーロボット制御工学の世界へようこそ◆◆◆

スーパーロボットという響きに、みなさんは何を感じるでしょうか。カッコいい、男(女)のロマン、あるいは、コドモダマシ、荒唐無稽、テレビの中だけのもの・・・、でしょうか。

筆者は、スパロボは誇るべき文化だと感じています。テレビの中で活躍するスパロボは、われわれが根源的に抱く「スーパーでありたい!」という夢を、わかりやすいカタチで表現したものともいえます。数多のスパロボたちは、イマジネーションを刺激する豊穣な文化インフラです。

こう考えると、人が駿馬のように大地を疾駆すべく自動車を実現し、飛鳥のように天翔るべく飛行機を実現してきた工学の歴史が、筆者には思い起こされます。しかし一方で、AV-98 イングラムがロールアウトされた1998年が来ても、アトムが誕生した2003 年を迎えても、VF-1 バルキリーがロールアウトされた2008年を過ぎても、いまだに「スパロボがいる社会」は現実となっていません。

やはり、スパロボは非現実的なのでしょうか。スパロボではオーバーテクノロジーが前提となっていることが多いですから、オーバーテクノロジーが実現しなければスパロボも実現しないのかもしれません。しかし、だからといって、オーバーテクノロジーの非現実性を笑い物にしたり、スパロボすべてが非現実的だと切って捨てたり、非現実性から目を背けて「ロマン」に逃避したりするのは、少なくともロボット工学者である筆者にとっては真っ当な態度ではないように思います。

工学者とは人の役に立つモノをつくり出す人であると筆者は考えます。ロボット工学者は、人の役に立つロボットをつくり出す人です。ロボット工学が発展を続けるいま、スパロボという文化をおもしろおかしく食い散らかして消費するだけではあまりにももったいない。想像力/創造力豊かな次世代のロボット工学者を、スパロボという文化から紡ぎ出せるかもしれません。

そのためには、スパロボを必要以上に礼賛することなく、必要以上に貶すこともなく、奇を衒わず、素直に工学の俎上に載せること。つまり、未来のスパロボを実現する「スーパーロボット工学」を架空につくり上げるのではなく、現在のロボット工学で述べられる範囲で「スーパーロボット工学」の基礎を語ればよいのではないか、そう思います。

そしてそれは、これからロボット工学を志すかもしれない若い学生諸君や、ロボットへの夢を抱きつつも工学の道には進まなかった社会人の方々、特にスパロボ文化を共有する方々にとっては、格好のロボット工学への導入・紹介になると期待しています。(序章より抜粋)

編著者 立命館大学 金岡 克弥



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