元アサヒビール・マーケティング部長
松井康雄

A5判上製・424頁・定価1,995円(税込)

18年の時を経て、大ヒット商品のこれまで語られなかった開発ストーリーが明らかになった。当時の実務責任者であった松井康雄氏(元アサヒビール・マーケティング部長)が、マーケティング戦略とその裏側にあった人間模様を赤裸々に描く「読みごたえ 辛口」の息もつかせぬ超一級ノンフィクション。

これまで、いろいろな人たちによって幾多のスーパードライ誕生ストーリーが語られてきたが、それらのほとんどは「大規模消費者調査に基づいてつくった」とか「皆で議論をしてつくった」とか「消費者調査のフリーアンサーの中に、辛口ビールをつくってくれという回答があったのでつくった」とかいわれているが、それらはすべてウソである。
 商品開発の実務に携わったことのない人たちが、社外の人に語るのに、消費者調査に基づいてつくったと話す方が理解を得やすいからそうしているだけなのである。

アサヒビールの大躍進に関する印刷物(新聞、雑誌の記事や単行本等々)は、数えられないくらい程多数ある。それらのうち主なものだけでも、時系列に並べて読んでみると、明らかにストーリーが変化している。書く人や取材に応じる人が変われば、書く視点や重点の置き方も変わるため、アウトプットとしてのストーリーが変化するのは当然のことである。しかし、ここで見過ごすわけにいかないのは、時間の経過と共に変化する方向が問題なのである。明らかに時の権力者の都合のいいように書き換えられている。もっとストレートな言い方をすると、時の権力者の手柄話に変わっていくのである。

 消費者調査はヒット商品づくりのための必要条件の一つであることを否定するものではないが、単に調査データだけで商品開発が出来るわけがない。もちろん、時には、消費者からのチョッとした提案によって大ヒットした事例がないことはないが、それは例外中の例外と言うものだ。このことは一度でも商品開発に関与した人ならば先刻承知のはずだ。調査をすれば簡単にどんどんヒット商品が生まれるなら、こんな気楽なことはない。世の中、それこそヒット商品だらけになってしまうというものだ。ところが、ヒット商品はなかなか生まれない。ヒット商品は生まれるのではなく、つくり出すものだ。そのためにはそれなりの仕掛けとアクションが必要なのである。
 そして、スーパードライの成功の最重要ポイントはどんな思考プロセスを経て開発されたかである。にもかかわらず、これを欠落させたり、すり替えたりすることは大嘘をついているといっても過言ではない。これは世間をたぶらかすだけではなく、社内の人間をも毒するものだ。そんな大嘘がまかり通る組織はやはりおかしい。

※本文より抜粋
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【目次】
プロローグ/左遷/不買動機/敗因/温故知新/仮説とマーケティングビジョン/戦略構築/新しい模索/捨てる神、拾う神/フォーチュネイト作戦(○F作戦)/FX作戦(スーパードライ)/FFB作戦(スーパーイースト)/FFA作戦(アサヒ生ビールZ)/エピローグ(1991年の顛末/多品種化作戦/亀裂/ミスマーケティング/転進)

著者 松井康雄氏略歴
1938年 大阪市出身 61年 大阪大学法学部卒業 朝日麦酒(株)(現アサヒビール(株))入社 76年 本社・営業部商品販売課長 77年本社・営業部清涼飲料課長 86年本社マーケティング部長 88年スーパードライ大ヒット 社長賞受賞 89年3月取締役 91年3月常務取締役 96年2月専務取締役 7月アサヒ飲料専務取締役 00年10月アサヒビール食品社長 02年アサヒフーズアンドヘルスケア社長 04年社長退任

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