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目利きが教えるエンドミル使いこなしの基本

定価(税込)  2,420円

著者
サイズ A5判
ページ数 240頁
ISBNコード 978-4-526-08002-9
コード C3053
発行月 2019年09月
ジャンル 機械

内容

多様な加工が可能な反面、使いこなしに技量が問われるエンドミル加工の基本知識、切削条件、実践応用法などを整理して体系化。工具メーカーの設計現場で30年過ごした著者が、独自の切削データを示しつつ加工上の注意点やトラブル対策法を手ほどきする。

今泉英明  著者プロフィール

(いまいずみ ひであき)
1957年愛知県に生まれる。1980年大阪工業大学卒業後、オーエスジー株式会社入社。エンドミル、ドリルの設計、開発を10年間担当し、特殊工具打ち合わせや使用状況確認のために多数の切削現場を訪問してきた。工具メーカーの立場から加工改善の協力も行う。その後、生産管理、商品企画などを経て1997年に再びエンドミルの設計、開発にリーダーとして従事。設計部門次長を経て製造部長に就任する。製造部では自社製工具を使った自部門の加工改善も推進。この間、型技術者会議実行委員、日本工具工業会フライス部会長、日本ねじ研究協会理事を務める。現在はスマートファクトリー実証室に在籍。

目次

はじめに
第1章 エンドミル選定のための基礎知識
1.1 エンドミルとは
1.2 エンドミル各部の名称
1.3 エンドミルの種類
1.4 エンドミル各部の記号表記方法

第2章 エンドミル材質の選び方
2.1 エンドミル刃部の材質
2.2 エンドミルの表面処理
2.3 エンドミル材質ならびに表面処理と主な用途

第3章 エンドミル加工の基礎知識
3.1 切削加工
3.2 エンドミル切削
3.3 エンドミルによる加工形態

第4章 切削条件の決め方
4.1 エンドミル加工での切削条件
4.2 切削速度
4.3 送り量
4.4 切込み深さ
4.5 主要切削3条件決定における注意事項
4.6 ピックフィード
4.7 切削の向き(アップカットとダウンカット)

第5章 エンドミル使いこなしのための基礎知識
5.1 刃先角度と切削特性
5.2 ねじれ刃の基本特性
5.3 ねじれ角と加工精度
5.4 特殊なねじれ刃の効果
5.5 刃数と切削特性
5.6 外周刃形状と切削特性
5.7 刃先稜線の影響
5.8 アスペクト比(L/D)の影響
5.9 底刃形状と切削特性

第6章 実践で役に立つ応用知識
6.1 側面切削での加工精度向上
6.2 溝切削での加工精度向上
6.3 加工面粗さの推測
6.4 切削抵抗と所要動力の推測

第7章 知っておきたい各種被削材の切削特性
7.1 各種材料の被削性
7.2 各種被削材のエンドミル加工

第8章 エンドミル活用のための切削技術
8.1 CAD/CAMと工具経路
8.2 エンドミルの保持具(ツーリングシステム)
8.3 加工物の保持具(ワーククランプシステム)
8.4 切削油剤などの切削技術
8.5 積層造形と切削加工

第9章 トラブルの予防と発生時の対応
9.1 トラブルとその対策事例
9.2 エンドミルを安全に使うための注意事項

第10章 エンドミルの再研削
10.1 再研削の時期
10.2 再研削の方法
10.3 砥石と研削条件

column
刃物のはなし① テーブルナイフの先はなぜ丸い?
刃物のはなし② 折れず、曲がらず、よく切れる
刃物のはなし③ カミソリはなぜよく切れる?
刃物のはなし④ 切削速度の今は昔のはなし
刃物のはなし⑤ ギロチン伝説
刃物のはなし⑥ 筑波山名物 正調ガマの油売り口上
刃物のはなし⑦ ホホジロサメの歯
刃物のはなし⑧ きれいなパンの切り口
刃物のはなし⑨ 包丁の「切れ味」と食材の「味」
刃物のはなし⑩ はさみのはなし

おわりに
参考文献
索引

はじめに

 切削加工とは「刃物を加工物に当てて動かし、その内部に局部的に発生する大きな応力で破断を起こさせることによって、不要な部分を切りくずとして分離し、所望の形状の新表面を持った製品を作ること」(*)と切削加工論では定義されています。
しかし、こうした切削加工は10万年以上も前の石器時代(一説によると50〜60万年前の北京原人のころ)から、すでに行われてきたと言われています。火を使うことと同様に、石や貝殻で作った刃物でものを削るという行動は、人類の進化に大きな影響を及ぼしたと言えるでしょう。
 その後、青銅器による金属(金、銀、銅)の切削が始まり、鉄の発見や産業革命などを経て、現在の切削加工が誕生するに至っています。なかでもエンドミルの誕生は切削加工の可能性を大きく広げ、ものづくりの発展に大きな貢献をしてきたと言えます。近年では、高速回転主軸や高精度な制御機能を持った工作機械やソフトウェアの開発をはじめ、工具や加工物の保持技術の向上など、エンドミル加工を取り巻く技術が急速に進歩し、エンドミル加工の守備範囲はますます広がっています。
 こうした中で多種多様なエンドミルが商品化されており、どのようなエンドミルを選ぶか、加工アプローチの仕方や切削条件はどうするかなど、迷うことも多いと思います。あるいは、狙い通りの加工精度や加工品位が得られないなどの問題が発生することもあるでしょう。ここでは、各種エンドミルの切削特性と切削加工技術、加工事例および再研削などについて紹介します。エンドミルを扱う、あるいはエンドミル加工に携わる方々に、多少なりとも参考になれば幸いです。
 なお、執筆に当たりましては基礎実験結果をもとに、その分野の文献も参考にさせていただき、なるべく正確な紹介をするよう心がけましたが、一部に筆者の推測や思い込みがあることは否めません。こうした部分につきましては、今後、検証試験などで明らかにしていく所存ですので、どうか寛大なご理解をいただきますようお願いします。また、使用する用語につきましては加工現場で慣用的に使われる用語も用いており、必ずしもJIS用語とは合致していないことをご了承ください。
 本書の出版に当たり、資料や画像の提供にご協力くださいました㈱イマオコーポレーション、㈱MSTコーポレーション、貝印グループ、筑波山ガマ口上保存会、鳥羽水族館、福井県立恐竜博物館に謹んでお礼申し上げます。そして、基礎実験の協力をいただいたオーエスジー㈱の齋藤益生氏、編集協力をいただいた西村公一氏、新井園美氏、デザインセンターのみなさんにお礼申し上げます。さらにはこれまで約40年間に、エンドミルを通じてお世話になったすべてのみなさまに感謝の意を表します。
 最後になりましたが執筆段階から親切なご指導をいただき、多大なるご尽力を賜りました日刊工業新聞社出版局書籍編集部の矢島俊克氏に心よりお礼申し上げます。

*中山一雄、「切削加工論」、コロナ社より引用

今泉英明

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