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手戻りを撲滅する!
超・実践的3次元CAD活用ノウハウ

定価(税込)  2,376円

著者
サイズ B5判
ページ数 108頁
ISBNコード 978-4-526-07935-1
コード C3053
発行月 2019年02月
ジャンル その他 機械

内容

本書は、3D CADを使用した正しい「設計」の考え方と手順を紹介した本。設計手戻りの撲滅を目的に設計対象を機能で分類・把握して自らの設計をキチンと積み上げ再現性あるものとしていく方法や、モデリングでも後々検証しづらいものとならないよう、設計三カ条に基づく具体的なノウハウを数多く紹介する。

西川誠一  著者プロフィール

(にしかわ せいいち)
西川誠一(西川@龍菜)
 三洋電機株式会社(現:パナソニック株式会社)を経て独立し、多くの企業で設計プロセス教育およびコンサルティングを行っている。また、DCAD を導入あるいは導入を考えている企業に対して「設計検証を考慮した3DCAD 活用メソッド」に基づき、3DCAD の効果的な活用方法を指導する他、設計業務やモデリングの受託、実践的な手法の開発・応用に努める。
 コンセプトは「面白い…感動する・ユニークな…サービスを提供し続ける存在でありたい」

龍菜 Ryu-na Design and Engineering(代表)http://www.page.sannet.ne.jp/gah01300/
   COLORS 株式会社(技術顧問)http://colors-pro.co.jp/
   株式会社MiyaiGarage(技術顧問)http://www.miyaigarage.com/

著作
初歩から学ぶ3 次元CAD 活用設計再入門(日刊工業新聞社 2007 年1 月 筒井真作・西川誠一)
新・正しい設計のススメ(株式会社エクスナレッジ CAD&CG マガジン 2006 年5 月特集)
正しい設計のススメ(株式会社エクスナレッジ CAD&CG マガジン 2002 年5 月増刊号)

記事
楽しいDesign のススメ(株式会社エクスナレッジ CAD&CG マガジン 2005 年3 月-12 月 全6 回連載)
ゼロから始める3 次元CAD &設計(株式会社エクスナレッジ CAD&CG マガジン 2003 年7 月-2005 年1月 全15 回連載)
Pro/ENGINEER Simple Lesson(株式会社エクスナレッジ CAD&CG マガジン 2002 年7 月-2003 年4 月 全10 回連載)
正しい設計のススメ(株式会社エクスナレッジ CAD&CG マガジン 2001 年6 月-12 月 全6 回連載+番外編)
グッドモデラー養成講座(株式会社エクスナレッジ CAD&CG マガジン 2000 年12 月-2001 年5 月 全6回連載)
CAD 攻略スペシャル(日刊工業新聞社 機械設計 2000 年10 月-2006 年3 月 全16 回連載+総集編)

目次

はじめに  

第1章 手戻りのない設計プロセス
1.1 設計にはプロセスがある
1.1.1 新規設計と流用設計
  Step-1.仕様の明確化
  Step-2.機能の具現化(構想設計・基本設計・詳細設計)
  Step-3.設計検証
1.1.2 3DCAD 活用自己診断シート
1.1.3 3DCAD 活用べし・べからず集
1.2 仕様の明確化(Step-1)
1.2.1 仕様の上下関係
1.2.2 コンセプトの設定
1.2.3 要求仕様と設計仕様
1.2.4 穴あけパンチの仕様
1.3 機能の具現化(Step-2)
1.3.1 構想設計の進め方
1.3.2 設計機能を樹系図で見える化しておく
1.3.3 効果的な樹系図を作るための3ヶ条
  1.設計で重要な機能から分類する
  2.ひとつの階層は4 分木以内とする
  3.アセンブリと部品は混在させない
  (1)設計検討の対象を絞り込む
  (2)設計の順番と製造の順番
  (3)製造部品表(MBOM)は樹系図に流用できない
  (4)樹系図と仕様書でモジュール化設計を実現する
1.3.4 ボールペンの樹系図を見てみよう
1.4 設計検証(Step-3)―モデリング即、設計検証
1.4.1 ケーススタディ 設計検証を考慮したモデリング
1.4.2 設計検証を考慮したモデリング3ヶ条
 1.設計で重要な部分から作る
  2.フィーチャを設計機能に対応させる
  3.設計基準を明確にする
1.4.3 定石コマンド
  1.材料を付加
  2.材料を除去
  3.薄板化
1.4.4 解析のタイミング

第2章 3DCAD を活用した設計検証
2.1 ファイルの準備
2.1.1 共同作業の設定(Step-0)
  作業フォルダの作成と排他処理
2.1.2 空ファイルの作成(Step-1)
2.1.3 空ファイルのアセンブリ(Step-2)
  部品表のチェック
2.2 レイアウトの検証
2.2.1 1FT 目・ベースソリッドの作成(Step-3)
2.2.2 アセンブリのレイアウト調整(Step-4)
2.3 質量特性の検証(Step-5)
2.3.1 2FT 目・シェルの作成
2.3.2 質量・重心のチェック
2.4 干渉チェックとCAE による解析(Step-6)
2.4.1 干渉チェック
2.4.2 CAE による解析

第3章 モデリングメソッド
3.1 モデリングの基本
3.1.1 単純な2D 断面スケッチを使用
3.1.2 板金部品
3.1.3 成形品
3.2 意匠曲面形状
3.2.1 モデリングの考え方
3.2.2 サーフェスとソリッド
3.2.3 手洗い金具のモデリング

第4章 ケーススタディ
4.1 解答例と説明(穴あけパンチの仕様とボールペンの樹系図)
4.1.1 穴あけパンチの仕様(第1 章1.2.4 項)
4.1.2 ボールペンの樹系図(第1 章1.3.4 項)
4.2 2 足歩行ロボット
4.2.1 思考ツリー
4.2.2 樹系図に記載する内容
4.3 モデリング解説(シェルコマンドと定石コマンドの活用)
4.3.1 ブラケットアングル(第3 章3.1.2 項(1)図3-10 参照)
4.3.2 ブラケットシャーシ(第3 章3.1.2 項(2)図3-11 参照)
4.3.3 カバー(第3 章3.1.2 項(3) 図3-12 参照)
4.3.4 配管ブラケット(第3 章3.1.2 項(4)図3-13 参照)
4.4 3DCAD の環境設定
4.4.1 Creo Parametric(Pro/ENGINEER)
4.4.2 SOLIDWORKS

索引

はじめに

 本書は手戻りのない設計プロセスを踏まえたうえで、3DCAD を設計検証ツールとして有効活用するためのポイントについて述べたものである。
 構造や機構設計に関わる設計者(新入社員からベテラン、管理職まで)だけでなく、設計やものづくりに関わる企画・教育担当者にも役立つ内容とした。読み進めるにあたり、機械工学に関する一般的な知識は必要だが、深い知識は不要である。より詳細な理解のために、3DCAD の基本的な知識はあったほうが望ましい。しかし、この分野に今後関わる予定などがあれば、新入社員でも理解できる内容としたつもりである。
 「3DCAD を導入してはみたけれど…」と感じている読者が、手戻りのない設計の流れと3DCAD の活用方法を理解し、現状での不十分な点に気付いて頂ければ幸いである。
 筆者が3DCAD を使い始めたのは1995 年、当時勤務していた会社で、設計の効率化に関するプロジェクトに関わったのがきっかけだ。活動の中で3DCAD の導入も検討され、フィーチャベースでパラメトリック機能を持つソリッド系のPro/ENGINEER(現:Creo Parametric)を選定した。単純な形状要素(フィーチャ)の組み合わせで複稚な形状を構築していく方法や、寸法バラメータを修正して形状を変更する方法は、当時では新しい概念であった。形を作るだけであれば、他の3DCAD という選択肢もあったが、このような概念は試行錯誤を繰り返す設計者の感覚と馴染みやすく、設計作業の中で活用できそうなツールであるからだ。
 現在では、CATIA、Creo(Pro/E)、Inventor、NX、Solid Edge、SOLIDWORKS などのメジャーな3DCAD を始めとして、低価格のFusion360、ZW3D などでもフィーチャベース・パラメトリック方式を採用している。
 3DCAD が登場する以前は2DCAD、それ以前は手描きのドラフタや定規と鉛筆などが設計作業で使用するツールであった。ドラフタや定規と鉛筆では図形を描くことはできるが、図面に記載された寸法値がなければ、図形要素の距離・角度・面積などの正確な情報を得ることはできない。また、紙に鉛筆で描かれた図形の書き直しは消しゴムを使わざるを得ないし、図形の流用は紙の切り貼りとなり、非常に面倒な作業となる。
 その後普及した2DCAD ではコンピュータを利用した描画により、図形要素の距離・角度・面積などが正確に測定可能となる。データのコピー&ペーストも容易となり、図形データを流用した設計作業の効率化が推進された。
 3DCAD が登場すると、空間内に立体形状(モデル)を造型(モデリング)できるようになる。モデルは体積という情報を持っているため、2DCAD の利点に加え、質量特性(質量・重心・慣性モーメントなど)の検証や干渉チェックが可能となった。ライブラリや既存部品からのコピー&ペーストも、リアルな立体形状での利用がさらに拡大することになる。
 その結果「3D 設計」と称して、詳細形状までモデリングされた部品を、実際に製造する順番でアセンブリとして組み付けながら、機械や製品全体を構成していく方法が推奨された。現在でも、CAD ベンダーの教育は先に部品をモデリングした後で、それら部品同士を組み付けながら、アセンブリを構築するという手順に沿ったものが多い。
 しかし、部品を詳細に設計してからアセンブリに組み付けてゆく方法では、全ての部品を組み付け終えなければ、設計検討図(設計を検討するためのアセンブリ図面)が完成しないことを意味している。そのため、設計検討図は詳細になったけれど、機械や製品全体の仕様に対する検証のタイミングが遅れる事態になりがちだ。これでは、何らかの問題が発生した場合、手戻りに要する工数が増えてしまう事態に陥る。
 このような手法は本来の設計プロセスに逆行したものであり、それに気が付かないようであれば、いつまで経っても「3DCAD を導入してはみたけれど…」という状況からは抜け出せない。さらに「まずはライブラリや共用部品を作成しよう」「作成した部品を実際に組み立てる順番でアセンブリを構築しよう」などの、的を外した方針やルールを決めてしまいがちである。
 設計プロセス教育や3DCAD の活用に関するコンサルティングを実施する中で、多くの企業が「設計での活用方法がわからない」「モデリング操作が難しい」「作成した3D データを流用できない」などの問題を耳にする。これらは3DCAD が原因というよりも、前述のような設計の進め方に起因するところが大きいと感じる。
 ドラフタや定規と鉛筆といった手描きツールで設計していた頃の設計検討図は、部品の形状を「○」や「□」に単純化したもので機械や製品の全体構造が表現されていた。構想設計段階の検討には、その程度のおおまかな形状表現で十分であり、最初から詳細形状が描かれていたわけではない。この状態で大きな手戻りの要因となる問題点を出し尽くした後、「バラシ」と呼ばれる部品の詳細設計に進んでいたはずである。
 便利なツールを使用できなかったがゆえに、ツールに振り回されず、正しいプロセスに沿って設計できていたようだ。
 本書では3DCAD の活用について多くのスペースを割いているが、3DCAD やCAE などのツールはあくまでもツールでしかない。便利ではあるが、それらは目的ではなく、目的へ至る手段に過ぎないことを常に意識しておいてほしい。
2019 年2 月 
著者

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