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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしいトヨタ式作業安全の本

定価(税込)  1,620円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07834-7
コード C3034
発行月 2018年03月
ジャンル ビジネス

内容

現場主導で自発的に進める安全活動の意義と展開の仕方を整理して紹介。現場に潜む不安全な状態の把握から始めるトヨタ式安全管理の勘所を図解する。「安全は利益獲得の第一歩」として、全社の収益向上に結びつく活動の進め方を手ほどきする。

石川君雄  著者プロフィール

(いしかわ きみお)

名古屋工業大学大学院博士後期課程修了 博士(工学)
⑭豊田自動織機で設備設計、自動車生産ライン等構築、工場建設、工場運営、TPS(トヨタ生産方式)、TPM(総合的生産保全)推進。トヨタ自動車田原工場建設プロジェクト参画。全トヨタ技術研究会(公害防止、NC型加工、PM設備保全)委員
日本機械工業連合会主催設備安全検討会委員(6年間)
現在、東海学園大学大学院経営学専攻客員教授、名古屋工業大学大学院電気・機械工学専攻非常勤講師、職業訓練校講師、愛知県中小企業診断士協会副会長、日本技術士会中部本部企画委員長、日本設備管理学会監事、愛知県グッドジョブアドバイザー、名古屋市専門委員、海外技術アドバイザー。中小企業診断士、技術士(経営・総監)、労働安全コンサルタント、第1種作業環境測定士
学術論文(査読)、特許:自動車生産技術関連で国内・海外多数
著書:「よくわかる設備改善の本」「安全は競争力~現場発ものづくり革新~」ほか
専門誌連載執筆:「リーンシステムと改善」(2年間)ほか
主な大学講演:マーラダーレン大学(スウェーデン)、早稲田大学、産業医科大学、南山大学など
主な海外講演・指導:中国、インドネシア、ベトナム、タイ、インド、スウェーデン、アメリカ、メキシコ、ブラジル、チリ、サウジアラビアなど

目次

第1章
工場経営と安全の密接な関係
1 セーフティーファースト(ご安全に)「『安全第一』は企業経営の“基本中の基本”」
2 安全は利益の源「安全は儲かるもの」
3 安全におけるトップの役割「ますます求められるCSR」
4 グローバル安全衛生は「待ったなし」「問われる世界同一の仕組み」
5 安全活動の評価はどう行う「自分たちの安全レベルを知ろう」
6 現場の多様化とヒューマンエラー「誰でも起きる可能性があると考える」

第2章
工場で発生するケガと災害
7 はさまれ・巻き込まれ「不用意に手などを出すと非常に危険」
8 転倒・転落「身体確保用の手摺り・支えを確認する」
9 腰痛・筋肉痛「あちこちに潜んでいる腰痛の原因」
10 感電「電気的不審物にむやみに近づかない」
11 切創・擦過・打撲・衝突・飛来「慣れた作業や疲労感が生じたときは黄信号」
12 火傷・凍傷「時間を置かず即、処置するのが鉄則」
13 雪目(眼炎)・放射線被曝「身近な職場でも気に留めたい」
14 騒音性難聴「気づかず罹災するためこまめに耳栓をつける」
15 振動症「『作業に振動はつきもの』は過去の話」
16 塵肺「空気中に飛散・浮遊する細かなゴミを侮るな」
17 職業性接触皮膚炎「新しい化学物質の登場で悩みは尽きない」
18 熱中症「軽視は禁物、命に関わる」

第3章
安全改善に向けた活動
19 2Sから5S、7Sへ「初めの一歩は2S」
20 3ムと3H「作業環境と頻度の視点から安全を考える」
21 4Mと魚の骨「ケガの要因がどこから来ているかを特定」
22 5WHYはトヨタ式「真因が見つかるなら5回でなくてもよい」
23 6Wとトヨタ式6W「危機管理における優先順序」
24 トヨタ「7つのムダ」とECRS「不安全な作業、工程、設備の見直し」
25 8の字展開と災害解析「8ループを回して改善を確実にしよう」
26 トヨタのG D3「設計問題を顕在化させる手法」

第4章
ケガと災害をつぶす
27 ケガの重篤度「評価は安全活動の目的に応じて異なる」
28 ヒヤリ・ハット摘出は身のまわりから「災害発生の原点」
29 安全衛生提案で不安全箇所の掘り起こし「気になる動作を考えよう」
30 作業しやすいか、使いやすいか、ミスしにくいか「ちょっとした手・指の動きに着目」
31 定常・非定常作業のケガ発生理由の違い「臨機応変な対応でカバー」
32 引っかかり・付着・詰まりの多発「意外な大ケガのもと」
33 つなぎの安全・(作業・組織のつなぎ)「つなぎの上手さが安全に効く」
34 つなぎの安全・(自動化設備・人のつなぎ)「安全を高める連携とは」

第5章
安全の7つ道具を使いこなす
35 安全衛生用保護具を知ろう「保護具は安全衛生確保の最後の砦」
36 防護・安全装置を知ろう「誤った動作をしたときの歯止めとなる」
37 安全測定具、安全作業具を知ろう「作業開始前の安全状況をチェック」
38 安全標識・安全ラベルを知ろう「安全啓蒙、危険警告などの目的で表示」
39 安全管理板を正しく使おう「管理板を見れば工場の安全意識がわかる」
40 安全ポカヨケでレベルアップ「ケガ防止の設備投資も低減できる」
41 安全制御機器を知ろう「安全機能を内蔵したツールを活用しよう」

第6章
安全を確保する運用と維持
42 安全組織のあり方「3つのタイプの安全組織を相互に連携」
43 安全衛生巡視点検の勘所「毅然とした姿勢で臨もう」
44 朝市・夕市でレベルアップ「新鮮な情報で本質が見える」
45 安全技能を育む「各種安全教育の中心的位置づけ」
46 多面的な安全見える化のステップ「危険箇所だけでは足りない」
47 安全を確実に肝に落とす「安全を肌感覚で浸透させる」
48 トヨタのSTOP6「作業者・保全マンが主役の本質安全化活動」
49 トヨタの「モノと情報の流れ図」(VSM)「淀みを明らかにする」

第7章
設備安全へのアプローチ
50 設備仕様決め段階から参画しよう「現場の目線を設備に活かそう」
51 FTA・FMEAを活用しよう「設計段階から不安全要素を取り除く」
52 設備レイアウトは安全では最重要事項「3次元の視野で見る」
53 社外からもMP情報を集めて織り込む「MP情報は設備安全の宝物」
54 ロックアウト・タグアウト「自分を守るために他人に働きかける仕組み」
55 3ステップメソッド「設備安全の3原則とレベルアップの方法」
56 故障を前提とした3つのF「不具合発生時に災害を小さく抑える手法」
57 据付工事の安全確保「代表的な非定常作業の安全管理」
58 立ち合い検査・動作試験の実施「安全面にこだわってチェック」
59 設備初期流動の重要性「安全確保と早期立ち上げを両立」
60 トヨタのT-VAL「科学的な作業負担度評価による改善」

第8章
安全レベルを引き上げる人づくり
61 安全道場の積極展開「精神性も含めた身体的な安全感覚を研ぎ澄ます」
62 安全指南役・安全師範とその資質「バランスのとれた強固な安全意識が成功の鍵」
63 安全ワンポイントレクチャーの活用「ケガ防止のための『気づき』の第一歩」
64 労働安全基準・安全ルールを実践しよう「各種基準・ルールを手元に置いて振り返る」
65 安全教育の対象者「会社の1人ひとりが主体的に取り組もう」

【コラム】
●安全衛生協力会って何をする組織?
●「駅伝」で安全衛生意識が高まる!?
●大運動会で心身リフレッシュ!
●トヨタの安全組織はこう変わってきた
●生活習慣を変える健康BIP2活動
●中小企業向けトヨタ式安全衛生教育とは?
●工場・設備のカラーリング
●労働安全衛生に関する国家資格試験

索引

はじめに

 1912年、日本で最初の安全活動を行った人は小田川全之氏(古川鉱業足尾鉱業所所長)で、アメリカで銅の採鉱や精錬を勉強していたときに、現地産業界で提唱されていた「セーフティーファースト」の考えを持ち帰り、「安全專一」と訳して所属する事業場構内に掲げ、安全活動を開始しました。今から約110年あまり前のことでした。
 その後、多くの民間企業が安全活動に注力し、災害件数も減ってきました。現在では自動化、高速化、高密度化、複雑化、また少子化、高齢化、ソフト化、サービス化、国際化など新たな環境変化に伴う、災害や健康不安が生じています。
 このたび、生産システム(TPSなど)として国内に冠たる位置を築いている、トヨタ自動車およびそのグループの、安全などに関する最前線の取り組み内容をまとめました。トヨタが安全を前面に出したのは1957年で、豊田英二専務取締役が全従業員に対して、「安全な作業・確実な作業・熟練した作業」を呼びかけたときでした。『安全は作業の入り口です。私たちは、まずしっかりと、この入り口を通りましょう』という言葉で、これを安全衛生基本理念とし、災害などの未然防止活動を推進してきたのです。
 設備安全については、1995年10月、生産技術部門役員の北野幹雄氏が『「安全設計は生技部門の責任であること。安全設計が生産技術の基本条件であること。安全設計を理解・実践・伝承できること」が管理者の基本条件』と強調しています。さらに2017年9月、豊田章男社長は「トヨタ自動車 健康宣言 ~健康第一の会社を目指して~」を発表しました(詳しくはは本文をご参照ください)。
 安全衛生健康に特効薬はありません。日頃の地道な改善と、確実な意識改革により進めていくことが基本です。
 今度は逆に、歴史を遡ってみます。トヨタグループの源流企業とされる豊田自動織機は、自動織機を発明した豊田佐吉翁が設立しました。その最高傑作が1924年に完成し、G型自動織機と呼ばれていますが、これは5つの主要な発明機構とユニットで構成されたものです。品質、故障保全、安全、生産性など50件を超える発明考案により、24の自働化、保護・安全装置などの機構・装置で成り立っています。ここには機械が異常を起こすと、機械を止める装置が組み込まれています。トヨタ生産方式の2本柱の1つであるニンベンのついた「自働化」です。
 豊田佐吉翁は次のように言っています。「予ノ終局ノ目的ハ自動織機ト環状織機トニアリ」(発明私記)。そして、自動織機のほかにもう1つ、環状織機にも取り組みました。環状織機は省エネルギー、低騒音・低振動が特徴です。特に騒音は、G型織機では92 dB(A)ありましたが、環状織機では72 dB(A)と改善されています。したがって、労働衛生上きわめて優れた機械と言えます。
 豊田佐吉翁のご子息で、トヨタ自動車社長となった豊田喜一郎氏も、自動織機の研究開発に取り組んでいました。さらに、1933年に豊田自動織機の中に自動車部が設立され、自動車の開発に本格的に取り組むことになったのが、現在への系譜につながっているのです。
 本書は、以下の構成で成り立っています。第1章では、安全を取り巻く現在の環境と工場経営について述べ、第2章では、工場で起こっている具体的な災害を列挙しています。第3章は問題点の改善手法を、第4章は災害の発生部や原因の細部について解説します。そして、第5章は安全に必要な「安全7つ道具」を取り上げ、第6章は安全確保のための実行動など、第7章は設備安全に対する技術面を述べ、最後の第8章は安全のための人づくりについて説明しています。
 本書の理解を促すため、たくさんの図表を使用していますが、中小企業診断士の竹本恵子氏にその作成協力をいただきました。感謝いたします。今後のさらなる活躍を期待します。また、出版の機会を与えていただいた日刊工業新聞社出版局の矢島俊克氏には、多岐にわたりお世話になり感謝に堪えません。
 本書が製造業に限らずサービス業などに至るまで、安全に関する基本的な考えを理解し、自社の災害などを少しでも削減されることに、お役に立てるなら幸甚です。

2018年1月
三河安城にて
石川 君雄

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